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日々の暮らしの雑貨と食材〈ゆきかう〉

ゆきかうは、長沼町の中心部にある雑貨店。オーガニックをはじめ、生産方法や素材にこだわった「物語」のある商品を取り扱うセレクトショップです。
ナッツやドライフルーツ、調味料やお菓子、衣類にキッチン雑貨と、幅広いラインアップは、どれも吉田夫妻が実際に使って、「良い」と感じたものばかり。自らの暮らしと仕事を緩やかに一体化させている夫妻のお話を聞きました。(取材時期 2022年1月)

Shop Data

日々の暮らしの雑貨と食材 ゆきかう
住所 長沼町銀座南1丁目7-6
電話 070-8447-7867
営業時間 11:00~18:00 
定休日 なし 
URL https://www.instagram.com/yukikaunaganuma/?hl=ja

吉田香奈子さん、勝宏さん夫婦

暮らしの雑貨と、有機食材の店

ゆきかうがオープンしたのは2019年6月。店主の吉田香奈子さんと、夫の勝宏さんは、7年ほど前に長沼町内の古民家へ移住してきた。元々は、札幌で10年ほどカフェを運営していた2人。自然に触れながら生活したいとの思いが募り、札幌近郊で移住先を探したという。小樽や北広島などを探し、なかなかいい物件に出会うことができない中、友人を訪ねて訪れた長沼町で、現在住まいとしている古民家を発見した。「何度か前を通りかかって、『売家』の看板が出ていたのでなんだか気になっていて」。縁あって手に入れた古民家を2年ほどかけて自身の手で改装し、暮らし始めた吉田夫妻。元々古いものが好きだったこと、自然の中で犬や猫などの動物たちと暮らしを夢見ていたこともあり、手に入れた離農跡地は夫妻の理想に近い場所だった。

地元の生産者による食材も多数扱っている。

長沼町に来てしばらくの間は、札幌でやっていたカフェの移動販売の仕事を続けながら、マクロビオティックやタッチフォーヘルスの講座やセラピー、天然素材の洋服である「うさとの服」の販売会などを行うことによって、自宅のある敷地を仕事場としても活用してきた。そんな中雑貨店をオープンすることになったきっかけは、カフェを運営していた時代から、有機をはじめとした安心安全な食材を取り扱える繋がりを持っていたこと。カフェでもたびたび欲しいと求められることがあったそれらの食材を、実際に手に取れる場所として雑貨店のオープンを決めた。

店舗は元はたこ焼き屋だったという市街地の商店街の一画。構造をそのまま活かしてほぼ居抜きで使うことができた上、商品を並べる什器は、カフェ時代に使っていたものをそのまま活用しつつ、足りないものは勝宏さんがDIYしたため、オープンの準備期間は約半月ととても短く済んだ。

「ゆきかう」とは、「人が行き交う」と「有機(食材)を買う」という意味をかけたもの。

仕事が暮らしであり、暮らしが仕事になる

吉田夫妻にとって働く事は暮らしと切っても切り離せないもの。自分たちが心地よいと思える暮らしの延長上に仕事が存在し、その仕事が元の暮らしに好影響を与えるような。そんな考え方だから、店舗で扱っているのは、自分たちが日常生活の中で使ってみて本当にいいと思ったものだけ。玄米や小麦粉、調味料やチョコレートなどのほか、衣類や鍋などの生活道具も並んでいる。中には長沼町内の生産者による商品も。

「田舎暮らしは忙しいですよ」と吉田さん。薪割りや畑仕事、庭の草取りなどをしているとあっという間に1日が終わってしまうそうだ。とはいえそれらは、自分たちの暮らしを作り上げるために必要不可欠な仕事。忙しくとも、取り組んだ分だけ生活の質が変わるという確かな手応えが得られるし、自然の中での動物たちとの暮らしは何物にも代えがたい充足感がある。

近郊の作家によるクラフト作品も置かれていた。

もし移住を考えているなら、できるだけ具体的に、どんな暮らしがしたいか、どんな家に住みたいか、どんな働き方が理想的かを言葉にしてみるのがオススメだと、香奈子さんは言う。文字でも絵でも、紙に書き出すことで自分の考えが整理され、本当にしたいことを見つめ直すきっかけになるからだ。そうして理想の暮らし像が完成したら、後はそこに向かっていくだけ。目標がはっきりしているからこそ、迷いなく実現に向けて行動できる。吉田夫妻の今の暮らしも、不思議なほど、過去にイメージしていた通りに進んでいるらしい。

「『仕事が生き方で、生き方が人生』という言葉を大切にしています」と、勝宏さん。香奈子さんは「長沼には、それぞれに芯を持った人がたくさんいて、そうした方と繋がって共感しあえるのが良いところ」と話してくれた。縁に導かれるようにして、また、自身も縁を作り出す側として。暮らしと仕事の輪を緩やかに広げていく夫妻がいる。

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